1. はじめに
Vanilla JavaScriptという言葉を耳にしたことはありますか?これは、フレームワークやライブラリを使わない純粋なJavaScriptのことを指します。現在、多くのプロジェクトでReactやVueといったフレームワークが活用されていますが、それらを使用しない「Vanilla JavaScript」の利便性や基礎力の重要性が改めて注目されています。本記事では、Vanilla JavaScriptについて初心者から中級者向けに解説し、実践的な例やメリットを紹介します。
2. Vanilla JavaScriptとは?
Vanillaの意味と由来
Vanilla JavaScriptという言葉は、アイスクリームの「バニラ味」が派生元です。ここでは「特別な味付け(フレームワークやライブラリ)がないプレーンな状態」を表します。ユーモラスな由来がありながらも、現代のWeb開発で基本中の基本として評価されています。
フレームワークとVanilla JavaScriptの違い
フレームワークやライブラリは開発効率を上げるために便利ですが、それらに依存することで特定の環境に縛られるリスクもあります。一方、Vanilla JavaScriptはブラウザ上で直接実行されるため、軽量で高速なパフォーマンスを発揮します。また、基礎的なJavaScriptの知識を身につけることで、フレームワークの習得も容易になります。
3. Vanilla JavaScriptのメリット
軽量で高速なパフォーマンス
Vanilla JavaScriptは、フレームワークのような余計なコードが含まれないため、実行速度が非常に速いのが特徴です。特にパフォーマンスが重要な場面では効果を発揮します。
依存関係がなく保守が容易
フレームワークはアップデートによる互換性問題がつきものですが、Vanilla JavaScriptは標準仕様に基づいて動作するため、その心配がほとんどありません。長期的なプロジェクトでも安心して使用できます。
学習やキャリアの基礎として有用
JavaScriptの基礎をしっかり学ぶことで、ReactやVueといったフレームワークの学習もスムーズになります。Vanilla JavaScriptはあらゆるWeb開発者にとっての出発点です。
4. Vanilla JavaScriptの基本操作
DOM操作
DOM(Document Object Model)とは、HTMLやXML文書の構造を表現するモデルです。Vanilla JavaScriptでは以下のようにDOM要素を操作できます。
// ボタンをクリックしたときに文字を変更
document.querySelector('#myButton').addEventListener('click', function() {
document.querySelector('#myText').textContent = 'ボタンがクリックされました!';
});
イベントハンドリング
ユーザーのアクション(クリック、スクロールなど)を処理するのがイベントハンドリングです。以下はクリックイベントの例です。
document.querySelector('#myButton').addEventListener('click', function() {
alert('ボタンがクリックされました!');
});
Ajaxリクエスト
外部サーバーとデータをやり取りする場合、以下のようにフェッチAPIを使用します。
fetch('https://api.example.com/data')
.then(response => response.json())
.then(data => {
console.log(data);
})
.catch(error => {
console.error('エラーが発生しました:', error);
});
5. 実践的なプロジェクト例
シンプルなToDoリストの作成
ToDoリストは、Vanilla JavaScriptを使った練習に最適なプロジェクトです。以下に基本的な構成を示します。
機能説明
- タスクの追加、削除、完了状態の管理。
HTMLコード例
<div>
<input type="text" id="taskInput" placeholder="タスクを入力してください">
<button id="addTaskButton">追加</button>
</div>
<ul id="taskList"></ul>
JavaScriptコード例
document.querySelector('#addTaskButton').addEventListener('click', function() {
const taskInput = document.querySelector('#taskInput');
const taskList = document.querySelector('#taskList');
if (taskInput.value.trim() !== '') {
const listItem = document.createElement('li');
listItem.textContent = taskInput.value;
const deleteButton = document.createElement('button');
deleteButton.textContent = '削除';
deleteButton.addEventListener('click', function() {
taskList.removeChild(listItem);
});
listItem.appendChild(deleteButton);
taskList.appendChild(listItem);
taskInput.value = '';
}
});
フォームのバリデーション
フォームの入力チェックを行うことは、Vanilla JavaScriptで頻繁に行われるタスクです。
HTMLコード例
<form id="loginForm">
<input type="email" id="email" placeholder="メールアドレス">
<input type="password" id="password" placeholder="パスワード">
<button type="submit">ログイン</button>
</form>
<div id="errorMessage"></div>
JavaScriptコード例
document.querySelector('#loginForm').addEventListener('submit', function(event) {
event.preventDefault();
const email = document.querySelector('#email').value;
const password = document.querySelector('#password').value;
const errorMessage = document.querySelector('#errorMessage');
if (!email.includes('@') || password.length < 6) {
errorMessage.textContent = '正しい情報を入力してください。';
} else {
errorMessage.textContent = '';
alert('ログイン成功!');
}
});
ミニSPA(シングルページアプリケーション)の構築
簡単なSPAのルーティングを実装することで、Vanilla JavaScriptの応用力が身に付きます。
HTMLコード例
<div id="app">
<a href="#home">ホーム</a>
<a href="#about">アバウト</a>
<a href="#contact">コンタクト</a>
<div id="content"></div>
</div>
JavaScriptコード例
const routes = {
home: 'ここはホームページです。',
about: 'これはアバウトページの内容です。',
contact: 'こちらはコンタクトページの内容です。',
};
function renderPage() {
const hash = window.location.hash.substring(1);
const content = routes[hash] || 'ページが見つかりません。';
document.querySelector('#content').textContent = content;
}
window.addEventListener('hashchange', renderPage);
renderPage();
6. Vanilla JavaScript学習のリソース
公式ドキュメント
Vanilla JavaScriptを学ぶ上で最も信頼できるのが、MDN Web Docsです。このサイトでは、JavaScriptの基本から応用まで詳しく解説されています。
無料・有料の学習リソース
- YouTubeチュートリアル
日本語で初心者向けに解説している動画が多数あります。例: 「ドットインストール」 - オンラインコース
Udemyでは、初心者向けのJavaScriptコースがリーズナブルな価格で提供されています。
日本国内の有益なブログやフォーラム
- Qiita: JavaScriptの具体例やTipsを共有する投稿が豊富です。
- Stack Overflow: 英語中心ですが、日本語の質問も対応している場合があります。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: Vanilla JavaScriptとフレームワークを併用できますか?
可能です。例えば、ページ全体はフレームワークで管理し、特定の小さな機能だけをVanilla JavaScriptで実装する方法があります。
Q2: Vanilla JavaScriptを使うときのデバッグ方法は?
ブラウザの開発者ツール(Chrome DevToolsなど)を使うことで、エラー箇所の特定やコードの実行結果を簡単に確認できます。
Q3: ES6以降の機能はVanilla JavaScriptに含まれますか?
はい、ES6以降の機能もVanilla JavaScriptの一部です。ただし、古いブラウザでの互換性に注意が必要で、必要に応じてPolyfillを使用することをお勧めします。
Q4: 大規模プロジェクトでもVanilla JavaScriptを使用できますか?
使用可能ですが、適切な設計とモジュール化が不可欠です。プロジェクトが複雑になる場合は、フレームワークの導入を検討するのも良いでしょう。

8. まとめ
Vanilla JavaScriptは、軽量で高速なパフォーマンスを発揮し、Web開発者に必要な基礎スキルを身につけるのに最適です。本記事で紹介した内容をもとに、ぜひ実践に取り組んでみてください。