1. はじめに
JavaScriptは、現代のWeb開発において欠かせない言語の一つです。その中でも「return」文は、関数の動作や結果を制御するための重要な要素です。この記事では、初心者向けに「return」文の基本から、注意すべきポイント、さらに応用例までをわかりやすく解説していきます。
「return」文の仕組みを正しく理解することで、より効率的でエラーの少ないコードを書くことが可能になります。この記事を読むことで、次のようなことがわかります:
- 「return」文の基本構文
- 関数における「return」の役割
- 「return」文を使う際の注意点
- 実際の開発で役立つ応用的な使用例
これから、一緒に「return」文の基礎から応用までを学んでいきましょう!
2. 「return」文の基本構文
「return」文の役割とは?
「return」文は、JavaScriptの関数内で使用される文法の一つです。主に以下の2つの目的で使用します:
- 関数の実行を終了させる。
- 関数から値を返す。
例えば、次のような簡単なコードを見てみましょう:
function add(a, b) {
return a + b;
}
const result = add(5, 3);
console.log(result); // 出力: 8
この例では、add
関数がreturn
文を使って2つの引数の合計を呼び出し元に返しています。
基本構文
「return」文の基本的な構文は以下の通りです:
return <返却したい値>;
「return」キーワードの後に値を指定することで、その値が呼び出し元に返されます。
値を返さない場合の挙動
関数で「return」文を省略した場合、関数は自動的にundefined
を返します。以下はその例です:
function noReturn() {
console.log("この関数にはreturn文がありません");
}
const result = noReturn();
console.log(result); // 出力: undefined
このように、「return」文を明示的に書かない場合、JavaScriptはデフォルトでundefined
を返します。
3. 「return」文の使い方
値を返す方法
最も基本的な「return」文の使い方は、関数の結果を返すことです。以下の例を見てみましょう。
function greet(name) {
return "こんにちは、" + name + "さん!";
}
const message = greet("太郎");
console.log(message); // 出力: こんにちは、太郎さん!
この場合、関数greet
は「return」文を使って挨拶文を呼び出し元に返しています。
条件付きで値を返す
「return」文は、条件分岐と組み合わせて使うことができます。特定の条件に応じて異なる値を返す例を見てみましょう。
function checkAge(age) {
if (age >= 18) {
return "成人です";
} else {
return "未成年です";
}
}
console.log(checkAge(20)); // 出力: 成人です
console.log(checkAge(15)); // 出力: 未成年です
このように、条件によって返却する値を変えることで、柔軟な動作を実現できます。
配列やオブジェクトを返す
関数は、単一の値だけでなく、複数の値を含む配列やオブジェクトを返すことも可能です。
配列を返す例:
function getNumbers() {
return [1, 2, 3, 4, 5];
}
console.log(getNumbers()); // 出力: [1, 2, 3, 4, 5]
オブジェクトを返す例:
function getUserInfo(name, age) {
return { name: name, age: age };
}
console.log(getUserInfo("太郎", 25));
// 出力: { name: '太郎', age: 25 }
配列やオブジェクトを返すことで、複数のデータをまとめて返却できるようになります。
関数チェーンでの「return」
「return」文を使うことで、関数をチェーンで繋げて実行することも可能です。以下の例では、複数の関数が順番に実行されます。
function double(num) {
return num * 2;
}
function addFive(num) {
return num + 5;
}
const result = addFive(double(10));
console.log(result); // 出力: 25
この例では、double
関数の結果をaddFive
関数に渡しています。このような関数チェーンは、コードを簡潔に保ちながら複雑な処理を実現するのに役立ちます。
4. 「return」文の注意点
自動セミコロン挿入(ASI)による影響
JavaScriptでは、コードの末尾にセミコロン(;
)を省略しても、JavaScriptエンジンが自動的に挿入する場合があります。これを「自動セミコロン挿入(ASI)」と呼びます。
しかし、この仕組みが原因で、思わぬ挙動が発生することがあります。以下の例を見てみましょう。
問題となるコード例:
function testReturn() {
return
{
value: 10
};
}
console.log(testReturn()); // 出力: undefined
この場合、JavaScriptエンジンはreturn
の後にセミコロンを自動的に挿入してしまいます。その結果、関数は途中で終了し、オブジェクトを返すことができなくなります。
正しい書き方:
function testReturn() {
return {
value: 10
};
}
console.log(testReturn()); // 出力: { value: 10 }
「return」の直後に改行を挟まないようにすることで、意図した挙動を実現できます。
「return」文と改行
「return」文の後に改行を入れると、意図せずに処理が中断されることがあります。これが、ASIの代表的な問題の一つです。
改行による問題の例:
function getGreeting() {
return
"こんにちは";
}
console.log(getGreeting()); // 出力: undefined
上記のコードでは、return
の後に改行があるため、JavaScriptはreturn
の後にセミコロンを挿入し、関数の処理を終了してしまいます。
正しい書き方:
function getGreeting() {
return "こんにちは";
}
console.log(getGreeting()); // 出力: こんにちは
改行には特に注意し、意図しない挙動を避けるようにしましょう。
関数内での「return」文の位置
「return」文が関数内のどの位置にあるかも重要です。「return」文が実行されると、それ以降のコードはすべて無視されます。
例:
function checkNumber(num) {
if (num < 0) {
return "負の数です";
}
console.log("このコードは実行されます");
return "正の数です";
}
console.log(checkNumber(-5)); // 出力: 負の数です
この場合、return "負の数です";
が実行された時点で関数は終了し、それ以降のコードは実行されません。
ポイント:
- 必要に応じて「return」文を配置することで、コードの流れを明確に制御します。
- 条件分岐の際には、適切な場所に「return」文を記述してエラーを防ぎます。
5. 応用例
再帰関数における「return」文の使い方
再帰関数は、自身を呼び出す関数のことです。「return」文を使うことで、再帰呼び出しの結果を返却しながら処理を進めることができます。
例: 階乗の計算
function factorial(n) {
if (n === 0) {
return 1; // ベースケース
}
return n * factorial(n - 1); // 再帰呼び出し
}
console.log(factorial(5)); // 出力: 120
解説:
factorial
関数では、n
が0になったら1を返すことで再帰呼び出しを終了しています。- それ以外の場合、
n
にfactorial(n - 1)
の結果を掛けて返しています。
クロージャでの「return」文の活用
クロージャとは、関数の内部で定義された関数が、外部のスコープにアクセスできる仕組みを指します。「return」文を使うことで、クロージャを呼び出し元に返すことができます。
例: カウンター関数
function createCounter() {
let count = 0;
return function() {
count++;
return count;
};
}
const counter = createCounter();
console.log(counter()); // 出力: 1
console.log(counter()); // 出力: 2
console.log(counter()); // 出力: 3
解説:
createCounter
関数は内部にcount
変数を持っています。- 内部関数を「return」文で返すことで、
count
変数の状態を保持しつつ、外部からアクセス可能にしています。
非同期処理と「return」文
非同期処理における「return」文は、Promise
やasync/await
の仕組みと組み合わせて使われます。
例: 非同期関数でのreturn
async function fetchData(url) {
const response = await fetch(url);
return response.json(); // データを返す
}
fetchData('https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1')
.then(data => console.log(data)) // データを受け取る
.catch(error => console.error(error));
解説:
fetchData
関数では、fetch
関数で取得したデータをreturn
文で返しています。then
メソッドを使うことで、非同期処理の結果を受け取ることができます。
高階関数と「return」
高階関数とは、関数を引数として受け取ったり、関数を返したりする関数のことです。「return」文は高階関数の戻り値としても活用されます。
例: 高階関数で関数を返す
function createMultiplier(multiplier) {
return function(value) {
return value * multiplier;
};
}
const double = createMultiplier(2);
console.log(double(5)); // 出力: 10
const triple = createMultiplier(3);
console.log(triple(5)); // 出力: 15
解説:
createMultiplier
関数は、引数として受け取ったmultiplier
を利用する内部関数を返します。- 内部関数は「return」文を使って計算結果を返しています。
6. よくある間違いとその対処法
ミス 1: 「return」文を書き忘れる
関数内で「return」文を書き忘れると、関数は自動的にundefined
を返します。これは、意図した動作とは異なる結果を生む可能性があります。
問題の例:
function calculateSum(a, b) {
const sum = a + b;
// return文を忘れている
}
const result = calculateSum(5, 10);
console.log(result); // 出力: undefined
解決方法:
function calculateSum(a, b) {
const sum = a + b;
return sum; // 値を返す
}
const result = calculateSum(5, 10);
console.log(result); // 出力: 15
「return」文を書き忘れていないか、常に確認する習慣をつけましょう。
ミス 2: 「return」文の後に不要なコードを書く
「return」文が実行されると、それ以降のコードは無視されます。そのため、「return」文の後に記述されたコードは実行されません。
問題の例:
function checkEvenOdd(number) {
if (number % 2 === 0) {
return "偶数です";
console.log("これは実行されません");
}
return "奇数です";
}
console.log(checkEvenOdd(4)); // 出力: 偶数です
解決方法:
不要なコードは削除するか、必要であれば「return」文の前に記述します。
function checkEvenOdd(number) {
if (number % 2 === 0) {
console.log("偶数をチェックしました");
return "偶数です";
}
return "奇数です";
}
console.log(checkEvenOdd(4));
// 出力:
// 偶数をチェックしました
// 偶数です
ミス 3: 改行による意図しない動作
前述した自動セミコロン挿入(ASI)の問題によって、「return」文の後の値が返却されない場合があります。
問題の例:
function getGreeting() {
return
"こんにちは";
}
console.log(getGreeting()); // 出力: undefined
解決方法:
「return」文の後に改行を入れないようにするか、括弧を使って値を明示的に返す習慣をつけます。
function getGreeting() {
return "こんにちは";
}
console.log(getGreeting()); // 出力: こんにちは
ミス 4: データ型の不一致によるエラー
「return」文で返却する値の型が想定と異なる場合、予期しないエラーが発生することがあります。
問題の例:
function multiply(a, b) {
if (!a || !b) {
return; // 値を返していない
}
return a * b;
}
console.log(multiply(5, null)); // 出力: undefined
解決方法:
値を明示的に返却するようにし、不適切な引数に対してはエラーメッセージを返すなどの対処を行います。
function multiply(a, b) {
if (!a || !b) {
return "無効な入力です";
}
return a * b;
}
console.log(multiply(5, null)); // 出力: 無効な入力です
ミス 5: 必要以上に複雑なコード
「return」文を使う際に、複雑な条件式やネストを多用すると、コードの可読性が低下します。
問題の例:
function getDiscount(price) {
if (price > 1000) {
return price * 0.9;
} else {
return price;
}
}
解決方法:
三項演算子を使うことで、簡潔なコードを書くことができます。
function getDiscount(price) {
return price > 1000 ? price * 0.9 : price;
}
console.log(getDiscount(1200)); // 出力: 1080

7. まとめ
ここまでで、JavaScriptの「return」文について基本から応用、注意点まで幅広く学びました。このセクションでは、これまでのポイントを総括し、「return」文を効果的に使うためのコツや次に進むべき学習の方向性を提案します。
「return」文の重要ポイントの復習
- 基本構文
- 「return」文は関数の実行を終了させ、呼び出し元に値を返すために使用します。
- 「return」文を省略すると、関数は自動的に
undefined
を返します。
- 基本的な使い方
- 数値、文字列、配列、オブジェクトなど、あらゆるデータ型を返すことができます。
- 条件分岐や関数チェーンとの組み合わせで柔軟に活用できます。
- 応用的な使用法
- 再帰関数では、「return」を活用して計算結果を累積します。
- クロージャや高階関数では、「return」を使って関数を返すことで柔軟な設計が可能です。
- 非同期処理では、
Promise
やasync/await
との組み合わせで結果を返します。
- 注意点
- 自動セミコロン挿入(ASI)による意図しない動作に注意。
- 「return」文の後にコードを記述しても実行されないため、不要なコードは削除。
- データ型の不一致や不適切な引数処理によるエラーを防ぐため、明確なエラーハンドリングを実装。
「return」文を効果的に使うためのコツ
- コードの可読性を意識する
- 三項演算子やシンプルな条件分岐を使い、簡潔でわかりやすいコードを書く。
- エラーを予防する
- 事前に引数の型や値をチェックするロジックを追加する。
- デバッグを行う
- 「return」で返す値を
console.log
やデバッガ
を使って確認し、意図通りの動作をしているか検証する。 - リファクタリングを心がける
- 冗長なロジックを簡潔にまとめる習慣をつける。
次に進むべき学習の方向性
「return」文の理解を深めた後は、以下のトピックに進むことで、JavaScriptのスキルをさらに高めることができます。
- 関数の設計
- コールバック関数や高階関数を活用した柔軟な設計方法を学ぶ。
- 関数型プログラミングの基礎を理解する。
- 非同期処理
Promise
やasync/await
の詳細な動作を学び、非同期処理を効果的に扱えるようにする。
- オブジェクト指向プログラミング
- クラスやプロトタイプを使った設計方法を学び、オブジェクト指向プログラミングの基礎を固める。
- JavaScriptの高度なトピック
- クロージャ、スコープチェーン、即時実行関数(IIFE)など、高度なトピックに取り組む。